ポストハーベストと呼ばれる農薬の残留農薬とは

「ポストハーベスト農薬」という言葉をご存じでしょうか。日常ではあまり聞かない言葉ですが、最近は健康志向もあり、食生活で注意している人もいるかもしれません。最もわかりやすいのが、アメリカなどから輸入されているレモンやグレープフルーツに使われている農薬のことです。収穫後に使われる農薬のため、残留しやすいといえます。このポストハーベスト農薬の残留農薬についてどういった点に注意が必要なのでしょうか?

残留農薬の意味について

ポストハーベスト農薬とは

一般的に農薬というものは、野菜や果物を栽培している時に使用するものですが、ポストハーベスト農薬というのは、野菜や果物を収穫した後に使用されます。わざわざ収穫したものにそういった農薬を使用するのには大きな理由があります。

例えば、海外で栽培されたものを日本に輸入するとなると、すぐに消費者に届けるのは難しいです。これだけ世界の物流が発達しているとはいえ、収穫してから消費者の手元に届くまで、それなりに日数がかかります。そのため、せっかく収穫した作物も、色が悪くなったり、品質が悪くなったりします。

そこでそれを防ぐために、ポストハーベスト農薬を使用するのです。ポスト(後)、ハーベスト(収穫)という名前の通り、収穫した後に使う農薬のため、どうしても作物に農薬が残りやすいです。

そんな危険があるのにも関わらず、使用されているのはやはり、輸送中に虫が発生したり、カビが生えたりして売り物にならなくなってしまうのを避けるためです。

知らず知らずに私たちが食べているものに、そういったものが使われていると考えると、何となく気持ちが悪いですし、不安にもなりますよね。ポストハーベスト農薬について全く知らないでいるのは危険であると言えるかもしれません。

どんな食べ物にポストハーベスト農薬が使われている?

では、いったいどんな食べ物にポストハーベスト農薬が使われているのでしょうか?まず、もっとも代表的なのが、アメリカなどから輸入されてくる柑橘類です。オレンジやレモン、グレープフルーツが代表的です。これらが販売されているスーパーの売り場に、「イマザリル」「オルトフェニルフェノール」「チアベンタゾール」などが使われています、という表示がされているのを見たことがある方もいるでしょう。

これらは、それぞれ成分が異なるものの、すべて防カビ殺菌剤の役割を果たしています。また、それ以外にも、代表的なものがバナナです。バナナは日本のスーパーで売られているもののほとんどが輸入に頼っています。そして、早く腐りやすい果物でもあります。

そこで必ずといってよいほどポストハーベスト農薬が使われています。それ以外には、小麦にも使われることがあります。日本では小麦はほとんどを輸入に頼っており、私たちの食生活にはかかせないものとなっています。うどんやパスタ、パンなどの炭水化物はどの人でも毎日のように食べています。

その小麦にもポストハーベスト農薬が使われているということを聞くと誰もが心配になるのではないでしょうか。また大豆なども同じような心配があります。納豆や豆腐に使われているものは、国産もありますが、輸入大豆を使っているものも多いです。

ポストハーベスト農薬の危険性

ポストハーベスト農薬には、発がん性や奇形が起こる可能性があるのではないかという指摘があります。作物の表面につけられるとはいえ、農薬が付いたあと、その食物の皮から浸透していく可能性もないとは言えません。それを私たちが口にしている危険があるのです。

仮に危険な農薬の成分を口にしているとしても、微量なのでもちろんすぐに何か症状が出るわけではありませんが、それでも積み重なっていくと健康にまったく影響がないかといえば、それは誰にもわからないのが現状です。

こういった話を聞くと、明日からじゃあ何を食べれば…どうしたらよいのかと不安に感じる人もいるかもしれません。ポストハーベスト農薬を使用する場合は残留濃度については基準値以下にするよう決まっており、残留基準値は厳格に決められています。

そのため農薬の残留基準値は一日摂取許容量に基づいており、一日の摂取許容量内ならば、健康への影響はほとんど心配が無いとも言われています。従って過剰に心配をする必要はないのかもしれませんが、知識としてはポストハーベスト農薬の存在についてはやはりきちんと知っておくべきと言えるでしょう。

輸入食品を購入する時に、ポストハーベスト農薬のことを頭の片隅にいれておくということは大切と言えます。

ポストハーベストを使っていない食品

様々な心配のあるポストハーベスト農薬ですが、このポストハーベスト農薬を使っていない商品も販売されています。日本では基本的に、収穫後に農薬を使うことは基本的に禁止となっていますが、世界では、収穫した後に農薬を使用するのは、実は当たり前だとされています。

特に使用が気になるのが牛や豚などの飼料として使われているトウモロコシや大豆です。そういった動物の飼料の段階からポストハーベスト農薬を使っていない肉類などをポストハーベストフリーの食品と呼びます。またポストハーベスト農薬を使用するのが当たり前とされているバナナも有機JASマークがついているものは、ポストハーベストフリーと呼べるでしょう。

数こそ少ないですが、そういったポストハーベストフリー食品もスーパーで販売されていますので、買い物の際に注意してみてみるとよいでしょう。国産は基本的に収穫後の農薬は使用されていませんので、国産の果物や野菜もポストハーベストフリーと言えます。

ポストハーベスト農薬への対策

残留農薬が気になる人はやはり、まずはポストハーベスト農薬を使った食物をなるべく選択しないほうがよいでしょう。具体的な対策としては、レモンやオレンジなどを購入する際はできるだけ国産を選ぶ、バナナは有機JASマークのあるものにする、小麦や大豆は国産ものにする、などです。

また外で紅茶を飲む際など、付けられたレモンを紅茶の中に入れるというのも気を付けたほうがよいでしょう。そして、輸入された果物を食べるという場合は、必ず皮をむいてから食べるといったことも大切です。またコスト面では高くなりますが、安心安全の有機野菜や果物の宅配サービスなどを利用するのもよいでしょう。

特に赤ちゃんや小さなお子さんのいる家庭では残留農薬については注意するに越したことはないでしょう。家族や自分の健康のためにも、知識としてポストハーベス農薬のことを知っておくことは非常に大切と言えます。